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平成29年度阪大ロー【再現答案・刑法】

以下は、私の再現答案です。

多くの誤りや不十分な論証があることを前提に、

参考にしていただければと思います。

 

第一 乙の罪責

 乙がBの左腕を強く引っ張った行為は、人の身体に対する物理力の行使であるから、暴行罪(刑法208条)の構成要件に該当する。ここで、乙は、甲がBに襲われてると思い、上記行為に出ているため、正当防衛が成立しないか。  

 「急迫不正の侵害」とは、違法な法益侵害が現に存在し、又は間近に押し迫ってることをいうところ、Bの甲に対する行為は適法な逮捕行為であるから、「急迫不正の侵害」にあたらない。 したがって、正当防衛は成立しない。  

 もっとも、乙は甲がBに襲われていると誤想しているため、故意責任が阻却されないか。  

 故意責任の本質は、犯罪事実の認識によって、反対動機が形成されるのに、あえて犯行に及んだ点に求められる。ここで、違法性阻却事由がないのにあると認識した場合、違法性の意識を喚起することはできない。したがって、違法性阻却事由に錯誤がある時、犯罪事実を認識しているとは言えず、故意は阻却される。  

 それでは、乙の認識において違法性阻却事由である正当防衛が成立していると言えるか検討する。 「急迫不正の侵害」の内容は上述の通りであるところ、Bは現に甲ともみ合っているため、これは認められる。また、「〜に対して」という文言から、反撃行為は侵害者に向けられたものである必要があるところ、乙は侵害者であるBに対して反撃しているため、これも認められる。次に、「防衛するため」という文言から、防衛行為は客観的に見て防衛に向けられた行為でなければならず、それに加えて防衛の意思が要求される。そして、防衛の意思の内容としては、急迫不正の損害を認識しつつこれを避けようとする単純な心理状態で足りる。本件において、乙は甲を「助けなければならないと思い」行為に出ているため、防衛の意思も認められる。  

 最後に「止むを得ずにした行為」とは、防衛行為の相当性、すなわち、自己又は他人の権利を防衛するための手段として必要最小限度のものであることを意味し、侵害と防衛行為の実質的な危険性を比較して判断する。本件において、大柄なBに対して、標準的な体格である乙が、Bの左腕を強く引っ張った行為は、甲を助けるために必要最小限の行為と言え、「やむを得ずにした行為」と言える。  

 したがって、乙の主観において、正当防衛が認められる。  よって、故意責任が阻却されるため、暴行罪は成立しない。  

 乙がBの胸を両手で強く突き、転倒させ、全治一週間の打撲傷を負わせた行為につき、傷害罪が成立する可能性がある。   

 ここで、「人の身体を傷害した」とは、暴行その他の行為によって、人の生理的機能を傷害したことをいう。本件では、胸を強く突くという暴行によって、全治一週間の打撲傷を負わせ人の生理的機能を傷害したと言えるから、「人の身体を傷害した」に該当する。  傷害罪は暴行罪の結果的加重犯であるから、暴行の故意があれば足りるところ、乙には少なくとも暴行の恋が認められるため、故意もある。  そして、当該行為時点において、甲はすでにBから解放されていたため、「急迫不正の侵害」は客観的にも乙の主観においても認められないことから、違法性に加え故意責任も阻却されない。

  よって、乙には傷害罪が成立する。

第二 甲の罪責

 甲がAに対して、虚偽の事実を言い、その隙に黒毛和牛500グラム1パックを自身のトートバックに入れた行為に対して、詐欺罪または窃盗罪が成立しないか。  この点、詐欺罪が成立するためには、交付行為に向けられた欺もう行為が少なくとも必要であるところ、本件において甲はAに対して、虚偽の事実を述べているがこれは交付行為に向けられたものではない。したがって、詐欺罪における欺もう行為が認められない。  よって、詐欺罪は成立しない。以下、窃盗罪の成否を検討する。  

 窃盗罪の客体は、「他人の財物」である。これは、他人が事実上占有する財物を意味する。黒毛和牛1パックはAが購入し占有している物であるから、「他人の財物」に当たる。  

 次に「窃取した」とは、自己の占有下に移すことをいうところ、自身のトートバックに入れた時点で自己の占有下に移したと言える。したがって、「窃取した」に該当する。  よって、窃盗罪が成立する。  

 次に、乙とともにBに暴行を加えた行為について、暴行罪の共同正犯が成立しないか。  ここで、共同正犯は第一次的に責任を負う正犯であるから、共同正犯が成立するには、①共謀、②共謀に基づく実行行為が必要である。  甲は乙に「変な人に襲われているの。助けて」と告げ、乙はこれを了解している。

 したがって、共謀は認められる。そして、乙はこの共謀に基づき、Bに暴行を加え、甲はBともみ合いをしている。したがって、共謀に基づく実行行為も認められる。  よって、暴行罪の共同正犯の構成要件に該当する。  

 そして、上述のように「急迫不正の侵害」は認められないから、正当防衛は成立しない。  

 しかしながら、共犯である乙において、故意責任が阻却されることが、甲の罪の成否に影響を与えないか。 この点、故意責任は避難可能性を本質とする性質上、個別的に判断されるべきものである。したがって、乙において責任故意が阻却されることは、乙の罪の成否に影響を与えない。  よって、甲には暴行罪が成立する。  

 最後に、傷害罪については、共謀が認められないため、罪責を負わない。

 

考察  

ロー入試の問題のレベルとしては標準的なものでしょうか。もっとも、想定解答時間が45分ですので、これとの兼ね合いを考えると、レベルの高い問題に含まれると思います。私も、途中答案になっています。笑 甲の傷害罪の検討が一行で終わってしまいました。笑 正当防衛の要件をダラダラ書きすぎたのが原因です。  

また、甲の罪責については、事後強盗を検討すべきだと思います。私は、全く気づかなかった。笑  甲にはマックスで強盗致傷が成立しうるということ指摘できるかどうかが上位となれるかを決めるのではないでしょうか。もっとも、胸を突いた行為が犯行を抑圧するに足りる暴行とは評価できないでしょう。なので、検討したところで成立しないので、実益がないとも言えます。これは事例が曖昧なので仕方ありませんね。  

あと、阪大は京大で過去に出題された問題と似たものがよく出題されています。なので、阪大対策としては、阪大の過去問に加え、京大の過去問を検討するのが良いと思います。

 

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