導入
この記事では、私が実際に解いた司法試験演習書の感想を紹介しています。
随時更新していこうと思いますので、
宜しくお願い致します。
刑法 演習書
【1】刑法事例演習教材
【おすすめ度 ★★★★★】
本書は刑法の演習書です。
刑法の演習書としては、ロースクール演習刑法も人気ですが、二つの演習書は特徴が異なります。
ロースクール演習刑法は、解説が充実しており、判例通説のみならず学説の動向も大きくカバーしています。いわば、インプットのためのアウトプット教材といってもいいでしょう。
一方、事例演習教材はすでにインプットを終えている中上級者向けの教材だと思います。事例は1Pちょいと比較的長めでありながら、解説は4Pもないくらいです。
個人的にはこのくらいコンパクトな解説が好きです。サクッと進めますし、わからなければ基本書に戻ればいいと思います。
本書は、判例通説を前提にいかに論点を抽出し、いかに事実評価するのか、いい訓練になります。
この二つの特徴の違う教材を、学習目的に合わせて使っていきましょう。
短期間で多くの問題演習をこなしたい方や、
アウトプット重視の方には、本書をお勧めします。
正直なところ、一通り刑法の学習が進んでいる方が演習書を一冊を選ぶならば、本書ではないでしょうか。
ロースクールでも大概の学生が、本書を利用して学習しています。
あと、できれば答案例をゲットして欲しいです。ロースクールでは、歴代のロー生が作成した答案例が出回っています。答案例があったほうが、学習効率は上がりますので、できれば欲しいところです。
ロースクール演習刑法は、本書を潰した後に、余裕がある人が取り組めばいいと思います。
私は、2冊とも持っていますが、事例演習教材をメインに使用しています。
【2】ロースクール演習刑法
本書のはしがきにおいて、著者である大塚教授は、司法試験の過去問と本書の演習書を繰り返しとけば、司法試験対策としては十分であると仰っています。
内容としても、かなり司法試験対策を意識していることがわかります。例えば、各事例にそれぞれ出題の趣旨と、答案上のポイントが書かれています。特に答案上のポイントは、司法試験受験生がよく間違えやすい箇所や、答案上必ず触れて欲しい箇所などが書かれていますので、参考になります。
また、解説も充実していますので、普段基本書を読まない方は、本書で判例や学説の理解等理論面を深化させることができます。
大塚先生の思考方法が好きな人には、おすすめです。思考方法でインプットしたものをアウトプットする教材としては、この教材の右に出るものはいないです。
司法試験受験生ならまず潰して損はない演習書だと思います。
一つの事例に対して、じっくり取り組みたい人、
アウトプットしながらインプットをしたい方にはおすすめですね
ただし、前述のように、まず購入を検討すべきは、事例演習教材だと思います。解説の簡潔さが気にならないのであれば、論点の網羅性・問題の質の点からして、事例演習教材に軍杯が上がります。
憲法 演習書
【1】判例から考える憲法
【おすすめ度 ★★★☆☆】
近年の司法試験(特にH29)では、重要判例を深く理解しておかなければ、主張反論を組めない出題がされています。本書は、新司法試験の傾向に合致した演習書と言えるのではないでしょうか。
【追記】
平成30年度の司法試験では、三者間形式が廃止されました。しかし、なお主張に対する反論は求められていますので、大きな変更ではないでしょう。
また、憲法に関しては、かなり司法試験を意識して作られた判例集が登場しました。判例学習に躓いている方は、演習の前にこちらで学習するのがいいかもしれません。
collegekunchannel.hatenablog.jp
【2】合格思考憲法
【おすすめ度 ★★★★☆】
予備校本で一番おすすめできるのは間違いなく本書でしょうか。
憲法の答案を書き始める時期に是非読んでおきたい一冊です。
予備校出版の本であるため、司法試験の合格に特化した一冊であり、効率よく憲法の答案の書き方を学ぶことができます。憲法の答案の型を身につけるには、打って付けの一冊です。旧司法試験を題材として答案例も付いているので、本書でインプットしながら、演習をすることもできます。
憲法の答案の書き方がよくわからないという方には、必読の一冊です。
辰已法律研究所
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【3】事例問題から考える憲法
【おすすめ度 ★★★★☆】
本書には、リアリティーある事例が収録されています。
最高裁判例の事案から、少しいじった事例とかではなく、最近の下級審で問題となった事案や、国会で議論されているような時事問題などが素材となっています。
司法試験の過去問を解いている方は、ご存知の通り、憲法の問題は、時事問題から出題されることが多いです。司法試験委員は、未知の問題に対して、既存の最高裁判例を使ってどのような結論を導くのか、を採点上重視しているように思われます。これに対応するためには、①重要判例をマスターすること、及び②演習を積むことが必要となります。本書は、まさに、司法試験の傾向に合致した演習を積むことができる演習書と言えます。
有斐閣
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労働法 演習書
【1】 労働法学習帳
【おすすめ度★★★☆☆】本書は論文対策用の演習書ではありません
労働法の基礎基本を確認するための
補助教材といったところでしょうか。
本書の端書きにも書かれているように、通学や通勤中に、
労働法を学習するための学習帳として作られたものです。
中身は、事例問題ではなく、
判例があげた規範の重要箇所や、
制度名等を穴埋めする問題がずらっと並んでいます。
赤チェックシートを使って、気楽に勉強できます。
労働法の基本書・判例集に関しては、以下の記事を参照ください。
気になる方は是非
チェックしてください
商法 演習書
【1】論文演習会社法
【おすすめ度 ★★★☆☆】
それら全ての問題について答案が付されており
しかもその答案例は若手実務家によって書かれていることにあります。
答案例が付されている演習書を受験生は求めているものの、
まだまだ少ないですが、この演習書はその需要に応じたものとなっています
解説自体もわかりやすいですけど、何と言っても、若手実務家の答案をゲットできる点は、大きな魅力ではないでしょうか。
学者が作った答案では、再現可能性が低いです。
若手実務という司法試験に合格し、実務経験を積んだ人たちの答案例だからこそ、再現可能性のある、作法を学ぶことができます。
実務を経験している弁護士だからこそ問題提起であったり、あてはめであったり、個性豊かな答案例が掲載されています。
しかし、初版ということもあって、改善すべき点はいくつかあるように思います。若手実務家の答案が手に入ると述べましたが、中には、予備校論証を貼り付けただけのような答案も含まれています。予備校の答案なんかいくらでも手に入りますから、この点は、残念です。
予備校本との差別化というものをもっと重視してほしいですね。
とはいえ、かなり勉強になる演習書であるのは間違いないです。
【この記事も書いてます】
collegekunchannel.hatenablog.jp
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