今回は、民法のオススメの演習書である『事例で考える民法』を使ったまとめノートを紹介します。勉強方法の参考にでもしてください。
本書には、現場的思考力が問われる問題が多く掲載されていますので、本試験対策としても有用です。
去年の予備試験の出題も、本書で学習していた方にとっては、比較的解きやすかったのではないでしょうか。
【事案】
AがBに対する貸金債権を担保するために、Cと保証契約を締結。AはDに対して貸金債権を譲渡およびBにその旨を通知した。なお、BはDに対して甲債権を有する。
※基本事例で考える民法演習第11問を簡略化しています。
【設問】
CはDに対して保証債務を弁済したため、Bに対して求償したところ、Bは甲債権との相殺するつもりであったとして、Cの請求を拒んでいる。Cの請求は認められるか。
【論述例】
設問
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CはBに対して求償請求をする(459)。(この請求の要件は、①AB間貸金債権の存在、②これにつきAC間保証契約、③Cの保証意思が書面によること、④AB間貸金債権がDに譲渡されたこと、およびその通知、⑤CがDに対して弁済したことである。)
AからDに対して被担保債権が譲渡され、その旨が通知されたことで、保証債務の随伴性より、債権者たる地位はDに移転する。そのため、Dに対して弁済をしたCは主債務者であるBに対して求償権を取得する(459)。
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これに対して、BはDに対して甲債権を有しておりこれを自動債権として貸金債務を相殺するつもりであったとして、Cの請求を拒んでいる。この反論は、463条が準用する443条に基づく反論である、すなわち、BはDに対して甲債権を有しており、これが「債権者に対抗することができる事由」に該当するため、保証人であるCに対抗することができるというものである。
この反論は認められることから、Cの請求は認められない。
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ただし、Cは、Bに過失があったのならば、甲債権の履行を請求することができる(463,443Ⅰ)
【コメント】
論点はなく、条文操作を正確にできるかが問われています。
しかし、初見でスラスラ解ける人は案外少ないのではないかと思います。この事案に債権譲渡の論点をさらに加えることで、複雑な問題も作れそうです。保障の規定については、十分に素読しておくことが大事そうですね。
本書は、学部時代から愛用しているものですが、解き直す度に新しい発見のある演習書です。また、今まで解いたことがないような、現場的思考力が問われる問題が多く、良問の宝庫となっています。潰して損はない演習書ですね。
司法試験が終わるまで愛用したいと思います。
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