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【A評価】平成30年度 予備試験 再現答案 刑法

報告が遅くなりましたが、予備論文に合格していました。合格していたので、作成していた再現答案をブログで共有したいと思います。成績通知が届けば、成績表もアップしたいと考えています。

 

 

私の再現答案は、試験後から2週間以内に作成したものになります。解答筋(論点の抽出・結論等)に関しては、9割程度再現できていると考えていますが、個々の表現については、6割程度の再現となっているのではないかと考えています。

 

 

少しでも参考になれば幸いです。

 

 

【追記】

A評価でした。

 

 

 

第一 甲の罪責

  1. 甲がVに無断で、Vより寄託されていた預金500万円の払い戻しを受けた行為について、業務上横領罪(刑法253条(以下条数のみ))の成否

(1)「業務」とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務であり、財物の管理を内容とする事務のことを指すところ、甲は新たな投資会社の立ち上げを計画しており、Vよりの寄託は、会社設立後の事業資金に利用しようとしていたことから、発起人という地位に基づいて、現金という財物の管理を反復継続して行なっていたと言えるから、業務性は認められる。

(2)預金500万円は、Vが所有する「他人の物」である。民法上、金銭の占有と所有は一致すると考えられているが、刑法は財産の静的安全を保護する法律であるから、民事法と同様に解する必要はなく、寄託された金銭の所有者は寄託者にあると解することが、財産の静的安全を保護する刑法の趣旨に合致するからである。

(3)横領罪の占有とは、濫用のおそれのある支配力であり、法律上の占有もこれに含まれるところ、甲は自己名義の口座で預金500万円を管理していることから、法律上の占有も認められ、占有も肯定される。

(4)「横領」とは、委託の趣旨に背いて、権利者でなければできない処分をする意思、すなわち不法領得の意思を発言する一切の行為をいうところ、甲の払い戻し請求は、投資のために寄託された趣旨に背く行為であり、Vでなければできない行為であるから、甲は「横領」したと言える。

(5)したがって、業務上横領罪が成立する。

  1. 甲が、「証書を紛失した」と虚偽の事実をCに告げて、預金の払い戻しを受けた行為について、詐欺罪(246Ⅰ)の成否

 甲の上記行為はぎもう行為に該当し得る行為である。しかし、詐欺罪は成立しないと解すべきである。なぜなら、甲は横領罪を遂行するために、このような欺もう的手段を行なっているところ、横領罪が詐欺罪より低い法定刑とされているのは、横領罪の客体は、自己の占有する物である点において、誘惑的要素が強いからである。そして、このような誘惑的要素は業務上横領罪でも同様に認められる。

 したがって、詐欺罪は成立しない。

  1. 甲が乙とともに、「債権債務関係はない」という念書をVに書かせた行為について、強盗罪(236条2項)の成否

(1)強盗罪の「暴行・脅迫」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りるものをいうところ、サバイバルナイフという殺傷能力の高い凶器をVの面前に示し、念書の作成を強制する行為は、2対1の状況で、V宅という密室的空間であり助けを呼ぶことが困難な状況であることも踏まえると、反抗を抑圧するに足りるものと言える。したがって、暴行脅迫したと言える。 

(2)「財産上不法…の利益」とは、1項強盗との均衡上、現実に確実に移転することが可能な利益である必要があり、その利益を「得」たと言えるには、その利益を確実に取得したと言える必要がある。

 本件において、債務というのは、移転性のある利益であり、債権者が免除の意思を表示すれば消滅する利益である。そうすると、債務は2項の客体となる。また、念書を作成すれば、事後的に履行請求をすることは極めて困難になることから、Vに念書を書かせたことで、確実に利益を取得したと言える。

(3)したがって、強盗罪が成立する。

  1. 乙が10万円を奪った行為について、強盗罪の共同正犯(60条、236条1項)の成否

(1)乙の10万の奪取行為は、甲乙間の共謀に基づく行為と言えるか。共謀と乙のこの行為との間に、因果関係がみとめられるのか問題となる。

 まず、9月1日の共謀では、「絶対に手を出さないでくれ」と甲が要求していることから、この共謀と10万円の奪取行為に因果関係は認められない。

 次に、現場共謀との因果関係の有無を検討する。9月5日において、乙は突然10万円の支払いを要求したところ、甲はこれに承諾を与えなかったばかりか、その後において乙が同様の行為に出ないようにナイフを取り上げて現場を去ったことから、10万円の奪取について現場共謀は認められない。したがって、現場共謀との因果関係は認められない。

 したがって、乙の行為は、甲乙間の共謀に基づく実行行為とは言えないから、甲が責任を追うことはない。

第二 乙の罪責

  1. 甲とともに、Vに念書を書かせた行為については、上述の通り、強盗罪の共同正犯(60条、236条1項)が成立する。
  2. Vより、10万円を奪った行為について、強盗罪の成否

 強盗罪は、財物奪取に向けられた暴行脅迫を本質とする犯罪であるから、暴行脅迫後に新たに財物奪取の意思が生じた場合には、原則として強盗罪は生じない。しかし、本件において、乙は、Vの喉元にナイフを突きつけた上で、「10万円を支払え」と脅していことから、10万円という財物の奪取に向けられた暴行脅迫が認められる。したがって、暴行脅迫後に財物奪取の意思が生じた事案とは異なる。

 乙は、Vの怯えた状況を利用して、10万円を奪っていることから、強盗罪が成立する。

 

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