司法試験が終わり最近、実務よりの本を読んでいますが、『刑事弁護入門』は、それらの一つです。
私が、本書を購入したのは、予備試験の刑事実務基礎対策のためでした。とあるブログで本書が、刑事実務の勉強に最適であると書かれていて購入したのを覚えています。
司法試験が終わり、また一読しましたが、やはり良書でした。そのため、今回は、事例に学ぶ刑事弁護入門―弁護方針完結の思考と実務 (事例に学ぶシリーズ) の書評記事を書かせて頂きます。
本書の概要
まずは、「BOOK」データベースより本書の内容紹介を見てみましょう。
刑の一部執行猶予制度、公判前整理手続に付する請求権等新たな制度を織り込み改訂!起訴前・起訴後の各否認・自白事件の4つのモデルケースを通して事件受任から弁護方針を完結するまでの実況ルポ!これから刑事弁護に取り組む弁護士、司法修習生の必読書!
このように、本書は、「事件受任から弁護方針を完結するまでの実況ルポ」であります。
刑事弁護の各場面での、刑事弁護人の心構え、各種法的手段、各書面の起案を学ぶことができます。そのため、「刑事弁護に取り組む弁護士、司法修習生の必読書」なのです。
著者は、宮本啓太弁護士
著者は、宮本啓太弁護士です。本書の著者略歴によると、宮本先生は、刑事弁護に注力されてきたようです。例えば、「裁判員裁判における証拠調べ」(法学セミナー681号)、「公判前整理手続の進行をめぐる留意点」(自由と正義61巻4号))など多数の刑事裁判に関する論文を執筆されています。
また、公判前整理手続を活かす〔第2版〕 (GENJIN刑事弁護シリーズ05)やガイドブック裁判員制度を執筆されているようです。
『最善の弁護活動』
弁護士職務基本規程46条は、弁護士に「最善の弁護活動」に努める義務を課しています。本書は、読者が「最善の弁護活動」をする助けになるように書かれています。
他方、本書はしがきにて、宮本先生は、
国家の圧倒的な強制捜査権限に晒されている依頼者の権利および利益を擁護するためには、知識、経験、そして「絶対に依頼者を守り抜く」という情熱が必要不可欠である
と述べられています。知識や経験だけでなく「絶対に依頼者を守り抜く」という情熱も必要。本書を読めば、宮本先生の「情熱」の片鱗に触れることができるでしょう。
4つのモデルケースを題材
本書は、起訴前2事件、起訴後2事件のモデルケースを題材に、時系列に沿って各場面での弁護士の役割や実際の対応について詳細に解説されています。
サンプル書面も多数掲載されているので、勉強になります。
全3編構成
本書は、全3編構成です。第一編では、弁護人の基本的義務と近時の刑事訴訟実務の変化の兆しなどが解説されています。本書のメインである第二編では、上記4つのモデルケースを題材に、事件受任から事件解決までの刑事弁護人の活動を時系列に沿って解説されています。第3編では、弁護活動を進めるにあたっての留意点をQ &A形式で整理されています。
こんな人にオススメ
本書には多数のサンプル書面が掲載されていまして、例えば、保釈請求書、類型証拠開示請求書などは、予備試験の刑事実務基礎対策として有益です。本書で、各弁護対応の趣旨や留意点を学習することで、周りの受験生と圧倒的な差をつけることができるでしょう。予備試験受験生に非常にオススメです。
また、司法修習生やこれから司法修習に行く人にもオススメです。
将来、刑事弁護人を目指したい人にもオススメです。
民事法研究会
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