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【論述例あり】会社法のおすすめ演習書『会社法事例演習教材』を使ったまとめノート公開【会社法演習書】

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今回は、会社法のオススメ演習書である『会社法事例演習教材』を使ったまとめノートを公開したいと思います。

 

  
事例演習会社法第二部設例6-3を題材にして、まとめた論述例になります。
 

事案

 
事例演習会社法第二部設例6-3
 

設問

 
P社は何らかの請求をすることができるか。また、AはP社に対して何らかの請求をすることができるか。
 

論述例

 
第一 P社のAに対する請求
  1. 不当利得返還請求の当否
(1)P社は、本件自己株式の取得は、財源規制に反するものであり無効であるとして、不当利得返還請求権(民法703、704)に基づいて、1000万円の支払いを請求することが考えられる。そこで、本件自己株式の取得の有効性について検討する。
(2)この点、財源規制に反する自己株式の取得は無効であるとする見解がある。この見解は、財源規制に反する自己株式の取得を承認した株主総会決議は法令に反するものであり無効であり、その無効な決議に基づく自己株式の取得も無効と解するのが相当であることを根拠とするものである。しかしながら、仮に無効と解せば、株主側より株式の返還との同時履行を求められることになり、会社がすでに自己株を処分していた場合に請求が認められないことになり、妥当性を欠く。さらに、461条1項は「効力が生ずる日」と規定していることからも、会社法は有効であることを前提としていると解するのが自然である。そもそも、会社は462条に基づく請求をすることができるので、不当利得返還請求権を認める必要性も低い
 したがって、財源規制に反する自己株式の取得は有効であると解するのが相当である[1]
(3)本件自己株取得が有効であるとすれば、株主が受領した1000万円は「法律上の原因」のない「利得」ではないことから、P社のかかる請求は認められない。
  1. 462条に基づく請求の当否
(1)P社は462条に基づいて、1000万円の返還を求めることが考えられる。
 462条の請求が認められるためには、①会社法461条1項に違反した会社の行為があること、②被告が、462条の規定する剰余金の配当等に関する責任を負う者であること、が必要である。
(2)本件では、P社の自己株式取得時の分配可能額が6億円しか存在しなかったにもかかわらず、自己株式の取得価格の総額は10億円であったのであるから、本件自己株式取得は会社法461条1項2号に違反する(①充足)。
 また、Aは自己株式取得の対価としてP社から1000万円の交付を受けていることから、「当該行為により金銭等の交付を受けた者」(462条1項)該当する(②充足)。
(3)したがって、P社のAに対する上記請求は認められる。
第二 AのP社に対する請求
  1. Aとしては、自己株式取得が無効であることを前提に、不当利得返還請求権に基づいて、株式の変換を求めることが考えられるが、上述のとおり、本件自己株取得を有効と解する限り、かかる請求は認められない。
  2.  もっとも、Aが受領した金銭を返還した場合には、会社側が二重の利得を得ることになってしまう。そこで、受領した金銭を返還した株主は、民法422条を類推することにより、会社に対して譲渡した株式の返還を請求することができると解すべきである。
 したがって、Aは金銭を返還すれば、P社に対して譲渡した株式の返還を請求することができる。
以上
 
[1] 見解の対立が激しいところなので、いずれの見解でも良いが、他説批判を加えること。田中亘教授は有効説に見解を改めている。
 

最後に

 
あくまで司法試験受験生の論述例であることに留意してくださいね。
 
会社法事例演習教材は、答案例を持っているならば
潰しておきたい一冊だと思います。
条文操作能力が格段に上がりますよ。オススメの一冊です。

posted with ヨメレバ
前田 雅弘,洲崎 博史,北村 雅史 有斐閣 2016-02-29
 
 
 そして、基本書は会社法を使っています。ロー生で使っている人はかなり多いです。
 
それでは。
 
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